「あの男はどこかに行ってしまったぞ」
「うん、知ってる」
私がそう答えると、イルドゥンはおもしろくなさそうな顔をした。
「あの男がいなくなったと聞いたら、今度こそお前は壊れると思っていたんだがな」
そう、確かに。
私は自分でも不思議に思っているのだ。
ルージュがいなくなっても、何とも思えない自分に―――――
「大丈夫。……さすがに、白薔薇がいなくなったのは応えたけどね」
いや、違うのかもしれない。
私はルージュと心のどこかで繋がっている気がするから何も感じないのかもしれない。
「ふん。アイツが言ってたことは本当だったな」
「えっ……?」
「“アセルスは僕がいなくても大丈夫”とか言ってたぞ」
ルージュがどんな意味を込めてそんなことを言ったのかは分からない。だが、私はルージュと繋がっていることを信じたい。
その為にも、今は自分ができることをやらなければならない。
「イルドゥン」
「何だ?」
「ファシナトゥールに戻ろう。………そして、オルロワージュと決着をつけるんだ」
私は私のすべきことをする。
だって、あなたもきっとあなたのすべきことをしていると思うから。
だから、どうか。
どうか、無事に私の元に帰ってきてね。
→あとがき
ルーアセ。
イルアセのような気がしますが、一応ルーアセのつもりです。
………それにしても、改行し過ぎた感じがする。