船の中の廊下を歩いていると、ふとある匂いがレイナスの鼻腔をくすぐった。
その匂いに釣られるようにして歩いていると台所に辿り着いた。
レイナスがひょいと台所の方を覗いてみると、並べられたお皿に順番に作った料理を盛り付けているニアを見つけた。


「……ニア、俺も手伝おうか?」
「あ、レイナス」


レイナスがそう声をかけると、ニアはにこりと微笑みながらレイナスの方に顔を向けた。


「大丈夫よ。もう少しで盛り付けは終わりだし、そろそろラナも戻ってくるはずだから」
「ラナちゃんは何処に行ってるんだ?」
「ラナならもうすぐ夕食の用意ができるから皆を呼びに行ってもらってるの」


レイナスと会話をしている間も、ニアはてきぱきと人数分の料理をお皿に盛り付けていった。
そんな手際の良さを眺めていると、ふいに盛り付けられた料理が目に映った。


「あ!さっき匂いを嗅いでもしかしたらって思ってたけど……やっぱり、今日の夕飯ってミートフランなんだね」


ニアは自分の好物が食卓に並ぶのを知って、子供のように喜ぶレイナスを見てくすくすと笑う。
レイナスはミートフランをニコニコしながら見て呟く。


「ニアが作るミートフランは美味しいから一番好きなんだ。……これなら毎日食べたいかな」
「えっ………?」


その、レイナスの何気ない一言でニアの顔は一気に真っ赤になる。
レイナスの言葉に他意はないことを頭で理解してはいるものの、ニアは顔が火照るのを止めることはできなかった。
一方、突然のことにレイナスは訳が分からなくなり、「えっ?えっ?」と狼狽えることしかできなかったのだった。








→あとがき

これ、本当は月曜に書く予定だったんですが、皆様のレイニアに満足してネタだけ考えて放置していたものです。
とりあえず、甘くない、と思います。
リクエストの甘くてラブラブなレイニアはまた別に書く予定です。あ、あとドモラ夫妻の話もね!

とりあえず、「君の手料理を毎日食べたい」発言はプロポーズの言葉だろと書きながら思った。

君達、さっさと結婚してしまいなさい!←

 

 

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