「なぁ、俺の傍にいられて嬉しいか?」
そう突然切り出されて。
ロナードはしばし、頭がまともに動かなくなった。
何というか、今更というか変な感じがするというか………。
とりあえず、コイツはいきなり何を言いだすんだと思った。
「……質問の意図がよく分からないが、お前といられるのは嬉しい―――というより、安心するな」
率直な感想を述べると、レイナスはずいっとロナードの目の前に顔を近づけた。
「何で?」
「は?」
「だから、何で安心するんだ?」
レイナスの目はいつになく真剣だ。
………だから、余計にレイナスの意図が分からない。
だが、一応答えておくことにする。
「長年の親友だから、戦う時もレイナスなら背中を預けられる………そういう意味だが?」
その言葉を聞き、レイナスは一瞬何かを考えるような顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「そっか。やっぱり、そういうことか」
一人納得するレイナスにロナードは尋ねる。
「……そろそろ、理由を聞かせてくれないか?」
「あぁ、そうだったな」
今、ようやくロナードに何も説明していなかったことを思い出したようだった。
自分の親友ながら、さすがのロナードも呆れてしまった。
「ニアがね、俺の傍にいられるのが嬉しいみたいなことを言ってたからさ。……やっぱり、仲間として安心するってことかぁ」
「勘違いしてかなりあせっちゃったよ」と、レイナスは付け足す。
そんなレイナスを呆れつつ、哀れみの目で見ているロナード。
あまりにも鈍すぎるレイナスを見ていると、ぼそりとだったが、ふいに言葉が口をついて出た。
「……ライは大変な奴を好きになったな」
「ん?何か言ったか?」
「いや………」
言葉を濁すロナード。
しかし、レイナスは特に気にしなかった。
ロナードはニアがレイナスに感じる感情と、自分がレイナスに感じる感情は全くの別物だと知っている。
自分がレイナスに対する気持ちが友情の何物でもないということと、ニアのレイナスに対する恋心が別だということを。
しかし、あえて言わないでおこう。
それがちょっとしたロナードのささやかないじわるだった………。


終わり


→あとがき
えっと、希望の光の後のお話ですね。
レイナスの鈍さとロナードのライに対するちょっとした想いなんかを書きたかったんです。
次はテストが終わったらハンラナを書きたいですね〜。

 

 

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