「お前…よく食えるよな、それ」


エアベルンの台所にて、ハントはヴァイスが持っている物―――カフジェレーを指さして先程の言葉を言った。
その顔は前にセントミラにて食べたカフジェレーの味を思い出しているのか、何とも言えない表情を浮かべていた。


「食べれないのはハントさんの味覚が子供並の味覚しか持ってないからじゃないですか?」


ヴァイスはハントを一瞥してからそう言うと、ハントの次の言葉を待たずにカフジェレーをスプーンで掬って食べ始める。
カフジェレーが彼の好物だからか、食べている時のヴァイスの表情が心なしか普段よりも少し嬉しそうに見えた。


「俺の味覚が子供なんじゃなくて、それを食えるお前の味覚がおかしいんだよ!大体、舌の感覚がおかしくなるくらい苦い食べ物は既に食べ物じゃなくて毒―――――」
「ハントさん」


ハントの台詞を途中で遮ると、ヴァイスは既に空になった器とスプーンを脇に避けた。
そして、くるりとハントの方へと向き直り、にっこりと―――されど、目は笑わずに―――笑った。


「……今、カフジェレーの悪口言いましたよね?」


ヴァイスの絶対零度の声音と彼の体が青い雷を纏っているのを見て、ハントは自分がヴァイスの逆鱗に触れたことにようやく気がついた。
そこで、ハントはヴァイスに何か弁明しようとするが、それよりも早くヴァイスが口を開く。


「カフジェレーの悪口を言う人には特大のバルザライザーをお見舞いしてあげますよ」
「それグランドエイジ突入時の台詞……じゃなくて!ヴァイス、ちょっと待てっ!!」
「問答無用」


気持ちの良いくらいにっこりと笑って。


「ぎゃあぁぁぁぁっ!!」


今までの比じゃない雷を落とされたハントはエアベルン中に響き渡るほどの凄まじい悲鳴を上げたのだった。








→あとがき

一応、久々にフラハイの二次を書いてみました。
最後に書いたのがオンラインアンソロジー用の話だったから、もう二年くらい書いてなかったのかな?
久々過ぎて、色々と不安が残る作品になっちゃったなぁ(笑)

ハントとヴァイスはCPとしては僕自身がそっち方面が苦手なので微妙ですが、コンビとしては凄く好きだったりします。
てか、この二人のケンカって書きやすいんだよね(←そこかよ)

では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
 
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