自分でも未練がましいとよく思う。
けれど、何度諦めようとしても彼への、レイナスへの想いを捨てることはできなかった。
諦めようとすればするほど、逆にこの想いは深くなっていく。
このままこの想いを引きずっていても、自分がただ傷ついていくだけ。
そんなこと、分かっているのに――――

「ここに来ると、何かが起きそうよね」

明るく、それでいて意志の強そうな少女の声を聞いて、ようやくライは我に返った。
ライは相手に見つからないように、そっと物陰から様子を窺う。
目の前には先程喋った少女、ニアと彼女の目の前にいる青年、レイナスがいた。
ライは二人の様子が気になってバーデルゼンまでやって来たのだ。
そして、今いるのはバーデルゼンの司令塔の屋上だった。

「確かに、そうかも。ここで何かしら起こってるし」
「私とレイナスが出会ったのもここだしね」
「……よくよく考えてみると、全てはここから始まったんだよな」

レイナスは笑いながらそう言う。もちろん、その笑みはライにではなく、ニアに向けられている。
二人を、楽しそうに笑い合う二人を見ているのはただつらいだけ。けれど、ライは視線を二人から外すことができなかった。

何をやっているのだろうかと自分自身に問いかける。
こうやって、二人を見ていても無駄なのに。
幸せそうに笑う二人を見ていても、ただ虚しくなるだけなのに。

――――――らしくない。

そう心の中で呟くと、ライは二人からようやく視線を外す。
レイナスへの想いを何度振り切ろうとしても、その想いは消えることなく、ライの胸の中で燻っていた………。


終わり


→あとがき
久々の二次創作ですな。
今回はライのレイナスに対する淡い想いを書きました。
ちなみに、設定的に場面はEDですな。
二次創作のリハビリも兼ねてるんで、話の内容は短いです。

 

 

 

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