「その足の傷はどうしたんだ?レイラ」


ある晴れた日の休日。
洗濯物を干し終えたレイラが外から部屋の中へと戻ると、ソファーで新聞を読んで寛いでいたドモラが先程の問いを発した。
足の傷に覚えがないので、ドモラに言われた場所を見てみれば、果たしてそこには傷があった。


「……洗濯物を干している時に草か何かで切ったのだろう」


レイラは傷を一瞥しただけで、家事の続きをしようとする。
これくらいのかすり傷程度ならば動くのに問題はないと判断したからだ。


「……レイラ、ここへ座れ」
「………?」


ドモラは読んでいた新聞を畳んで机の上に置き、自分はソファーから立ち上がってそこに座るようレイラに言う。
訳が分からなかったが、言う通りにソファーに座るとドモラはいつの間にか救急箱を持ってきて、その中から消毒液と絆創膏を取り出した。


「かすり傷とはいえ、バイ菌でも入ると大変だからな」


そう言ってドモラは傷口に消毒液をかけ、垂れた液をティッシュで軽く拭き取った。
そして、最後に絆創膏を傷口に貼る。
レイラはその様子を黙って見ながら、ふと昔のことを思い出した。
昔レイラがまだ軍にいた頃、演習中に怪我をしたことがあった。
その時の怪我も大したことはなかったのだが、上司であったドモラは今と同じように手当てしてくれたのだ。


「……どうかしたか?レイラ」


どうやらその時のことを思い出して笑っていたらしい。
急に笑ったレイラをドモラはぽかんと眺めていた。
そんなドモラに「何でもない」と告げるとレイラは立ち上がった。


「それより、これから買い物に行くんだが……付き合ってくれるか?」


答えは聞かなくても分かっていたが、それでも一応尋ねる。
案の定ドモラは笑うと頷いた。
そして、すっと差し出されたドモラの大きな左手に自分の右手で握り返すと、人々で賑わうカイゼルシュルトの街へと出かけたのだった………。








→あとがき

大変遅くなりましたが、ようやくドモラ夫妻の話が出来上がりました!
お待たせして申し訳無いです。
そして、この二人……こんな感じで合ってたかどうか不安です。

もう一つのレイニア(甘)はフロンティア配信に間に合いそうもありませんが、そちらも近いうちにUPしますので!
 
 
 
 
 
 
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