題無しパート1
「全く、何をやっているんですか?あなたは……」
ヴァイスはため息を吐くと、ハントに向かってそんなことを言う。 対してそのハントは網に引っ掛かっていた。 「知ったことかっ!!早く助けてくれっ!!」 そんなことを叫んでいるが、ヴァイスは無視した。そして、他の仲間の方を向き直る。 「さ、行きましょうか……」 「ハントは助けなくて良いのか?」 「先に行くことの方が大事です」 さらりとロナードの言葉を流す。後ろから何か叫んでいるのが聞こえてくる。それを心配そうにレイナスは眺めていた。 「……大丈夫かな?」 「レイナスさんは優しすぎです」 「…仲間、だからね………」 「………?」 急にレイナスの口調が変わったので、ヴァイスは訝しんだが人には知られたくないことが一つや二つはある、そう思って深く追及しなかった。 「……しょうがないですね」 ため息と共に、ヴァイスは指をハントに向ける。 その指先からバチバチと雷が光る。 「ちょっ……待て待て!!」 ハントはヴァイスを止めようとしたが、ヴァイスは唱えている呪文を止めなかった。 雷がヴァイスの体全体に広がっていく。正確に言うなら、体全体から出ている魔力が雷へと姿を変え、魔力を放出する特殊なリングを付けている指先に向かっていっている。 詠唱が終わると同時にリングも光る。 「バルザライザー」 ばちぃっ 雷が上から降り、ハントを捕らえていた網をズタズタに引き裂いた。 ついでに言うなら、雷はハントにも落ちた。 「さ、さっさと先に進みましょう。……このままでは日が暮れてしまいます」 「……ヴァイス、てめぇは俺を殺す気かっ!!」 がばっ、と勢いよく起きるとヴァイスに向かって歩いて来た。 一方、ヴァイスは不機嫌そうに答える。 「死んでくれてたら、どんなに良かったか……」 「このやろー!!」 ハントはずいっ、とヴァイスに近づく。ヴァイスも一歩ハントに近づく。 「何ですか?やるんですか?」 二人はお互いを睨み合う。しかし、そこでようやく二人を止める為に、ニアが二人の間に割って入り、二人を離した。 「いい加減にしなさい!!」 そして、少し怒ったような目で二人を見る。 ハントはその目を見て、ニアにすぐ謝る。 「ニアちゃん、すまない……」 ニアはヴァイスの方も見る。 「す、すみません……」 ヴァイスもそれに負け謝る。 レイナスとロナードはそれを見て、笑っていた。 「あの二人、仲が良いな」 「……ふっ。仲間同士だからな……」 「そうだったな」 そんな二人の話を聞いていたヴァイスとハントは声をそろえて否定する。 「そんなんじゃありません!!」 「そんなんじゃねぇっ!!」 「……ハントさん、マネしないで下さい」 「そっちこそ」 そんなこんなで、二人はまた睨み合う。そこへニアは一喝した。 「やめなさーいっ!!」 fin →あとがき 今改めて見るとすごいですね。(悪い意味で) ちなみに、これはブログに載せてた話です。 |