アイツは絶対に冷淡な奴だっ!!
仲間を仲間として見ないで、道具として見てるアイツは血の通ってない奴に違いない。
あたしが誰のことを言ってるかって?
それはね、つい最近あたし達グラディウスのもとへやってきた奴のことなのよ。

月のような神々しい黄金の髪。深い、海の底のような青い目。そして、整った顔立ちに、白く透き通った肌。
これだけ見るならば、ただの美青年だろう。いや、ただのどころかかなりの美青年だろう。
しかし、彼には一つだけ欠点がある。
それは“優しさ”である。
(あーあ、さっさと仕事終わらせてアイツと離れたいわ………)
あたしがそう思うのも無理はなくて。
アイツ、ブルーは本当に協調性がゼロなのだ。
ブルーから依頼されたのはリージョン界にある資質を集めるのを手伝ってもらいたいというものであった。
あたし達はブルーに協力して資質を集めた。
が、どうしてもあたしはアイツが苦手だ。
「おい、さっさとしろ」
ディスペアにて。
そろそろ解放のルーンが間近という所。
あたしは解放のルーンへ続く部屋の鍵を開けようとしているのだが、そこへ番人らしいモンスターが現れた。
とりあえず、モンスターは他の人達に任せたのだが、どうやら苦戦しているようだ。
それで、ブルーは先程の言葉を言ったわけだが………なんか偉そうでむかつく。
鍵なんかも怒りのせいで、力任せに開けてしまう始末。
………だめだ、落ち着け。あたしっ!!
ここで怒ったら負けよ。
って、意味分かんないことを考えてる暇はないんだってば。
「何をぐずぐずしてる?終わったんならさっさと手伝え!」
かっちーん。
頭に来た。
あたしは無意識のうちに剣の柄を握り締めていた。
「……手伝えばいいんでしょ」
きっ、と敵を睨みつける。
「手伝えばぁっ!!」
あたしはモンスターがかわいそうだと思われるほど、かなりの憎しみと怒りをぶつけて攻撃した。
あたしの怒りが相当のものだったのか、敵はあっという間に倒れた。
ブルーなんか、何事もなかったような顔をして先に進もうとしていた。
くぅー、これが依頼人じゃなかったらぶん殴ってるとこだわ。
それに、あともう少しでコイツと別れられる。それまで我慢しなくちゃ。
そう、自分を無理矢理納得させ、あたしは自分自身を落ち着かせた。
だけど、あたしは何も知らなかった。ブルーがどんな宿命を背負っているのかを………。

「……ここまでして資質を集めなくちゃいけないの?」
このリージョンにただ一人空術の資質を持つ麒麟を倒すと、このリージョンにいた子供達が消えていった。
その光景を見たあたしは思わずブルーにそう言った。
あたしは子供が好きだ。
だからこそ、子供達が消えていってしまうことにショックを覚えた。
例え、冷酷なブルーでもここまではしないと思ってたのに。
「ちょっと、聞いてんの?」
あたしは力ずくで、ブルーをあたしの方へ向かせた。
その顔は悲痛に歪んでいた。
「これでいい」
それはまるで、自分に暗示をかけてるかの如く。
「これで、ルージュと対決できるんだ」
今のブルーはいつものような冷たい印象が見えない。
もしかしたら、これがブルーの本当の顔なのかもしれない。
「……ルージュって?」
あたしがそう尋ねると、ブルーははっとしたような顔をして、普段通りの表情に戻った。
「……貴様には関係ない」
冷然と言い放つブルー。
しかし、今のあたしにはただ強がっているようにしか見えない。
だからこそ、引くことはできない。
「……アンタ、資質を集めて何をするつもりなの?」
「関係ないと言っているだろうが」
「関係あるっ!!」
きっ、と睨みつけた。
「あたしはアンタの仲間なのよっ!」
しかし、ブルーは全く怯んだ様子もなかった。
「お前達とは資質を集めるまでの付き合いだ。……これ以上は依頼していない」
そう言って、どこかへいこうとするブルーをあたしは手を引っ張って引き止めた。
「あたしは正直アンタが嫌いだったわ。……依頼人じゃなかったら殴ってやりたいほどに」
なるべく、あたしは感情を抑えながら喋った。それをブルーは何も言わずに黙って聞いていた。
だから、あたしも続けた。
「だけどね、少なくともあたしにとってアンタがどうでもいい奴ならそんなこと思わないわ!……アンタがあたしの仲間だから、むかつきもするし、心配もするのよ」
しばらくの間、ブルーはじっとあたしの顔を見ていた。
そして、あたしを試すように質問してきた。
「俺は資質を集める為なら何だってしてきた。いろんな連中を騙してきたんだ。……お前はそんな俺の話を信じるのか?」
青い目が、あたしの目を捉える。
あたしもしっかりとブルーの目を見てきっぱりと答えた。
「……確かにアンタは嘘つきね。最初の印象にすっかり騙されたほどに。………だけど、アンタはあたしが思ってるほど悪い奴じゃない。ただ、資質を集める為にやり過ぎてるだけ。……だから、あたしはアンタのこと信じるわ」
あたしがそう言い終わると、ブルーはあたしに背を向けた。
だから、今ブルーがどんな顔をしているのかあたしには分からない。
「………全く、貴様はとんだ物好きだな」
「なっ………」
あたしがブルーの言葉に反応して何か言いかけるよりも早く、ブルーは淡々と言った。
「生きてお前の所へ帰ってくる。………その時に全てを話す」
そう言って、ブルーはあたしを振り返った。
その顔がほんの少しとはいえ、微笑んでることにあたしは驚いてしまった。
「その時まで待ってるんだな」
それだけ言ってしまうと、ブルーはゲートとかいう術を使ってどこかへ行ってしまった。
あたしはそれだけ見送ると、へなへなとその場に座り込んでしまった。
「今のは反則でしょ………」
あたしの脳裏にはあのブルーの微笑みが甦っていた………。



→あとがき
えーと、ようやくできあがったブルアニ小説です。うわぁーい。
題名の英語はグラマーで使えるなぁ、と思っていた英文を少し主語の部分だけ変えたものです。使えてよかったわぁ。
さて、これもやはり続きものになるでしょうね。てか、きっとルーアセの方と話が繋がると思うな。多分だよ、もちろん。

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